看護人間学のための論理療法入門・11
実践編の2 受容欲求
伊藤 順康
1
1東京理科大学
pp.432-435
発行日 1988年7月25日
Published Date 1988/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908532
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受容欲求の典型
アール・トマスの事例をとりあげてみよう.彼は45歳のすこぶる知性の高い人物であった.彼はカウンセラーに対して,自分が他人の愛を得ようとどれほど努力したかを語った.寡婦であった彼の母親は,彼を甘やかしおだてあげて育てた.それが災いして,彼は自分にそんな特別な才能があるのなら,自分の人生は格別に優れたものになるだろうと信じ込んでしまった.
彼は相当の才能と魅力をもっていたから,級友や教師,のちには商売仲間からも,母親から受けたのと同様の待遇を得ることができた.ただし,はじめのうちだけだった.
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