特集 臨床実習指導
看護実践に伴う看護者の感情傾向と臨床指導のあり方について—看護婦と看護学生の感情体験調査による比較を通して
多田 昭栄
1
,
尾方 美智子
1
,
寺尾 紀子
2
1徳島大学医学部附属看護学校
2徳島大学医学部附属助産婦学校
pp.227-231
発行日 1986年3月25日
Published Date 1986/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908220
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はじめに
看護は対人関係を基盤とする実践活動であり,臨床看護に取り組む看護婦は,知識や技術だけでなく専門職業人としての態度や価値観の形成が重視されている.看護の基礎教育においても情意的側面の教育には,波多野が提案しているように1),‘人間理解’に焦点をおいた教科の選択や,臨床看護実習による体験学習の重視や工夫など,さまざまな努力を重ねている.
ところで臨床看護の現場で,看護婦や看護学生(以下看護者と総称)が患者への真の援助関係をめざすならば,情緒的な相互関与の必然なケースが多い.臨死看護はその代表例であるが,それを体験した学生の多くは,恐怖や不安,喜びや拒否,悲しみなどのさまざまな心理反応を示すと報告2)されている.このような感情体験は,看護者の看護態度にどのような影響をもたらしているだろうか.
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