焦点 感情労働と看護
[シンポジウム]感情と看護を語る
広瀬 寛子
1
,
加納 佳代子
2
,
武井 麻子
3
,
小宮 敬子
3
1戸田中央総合病院看護カウンセリング室
2八千代病院看護部
3日本赤十字看護大学
pp.887-894
発行日 2001年11月10日
Published Date 2001/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901333
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これまで看護の世界では,感情というものは厄介物という扱いを受けてきたのではないでしょうか。たとえば,「感情的な看護婦」というのが「未熟な看護婦」とほとんど同じ意味で用いられてきたように。しかし,看護という営みは,感情を揺さぶられることが非常に多いのです。おそらく患者が体験しているであろう不安,悲しみ,あるいは無力感といった否定的な感情によって,自らの感情を刺激される。ところが,看護職は,これまで感情を厄介物扱いして十分に検討してこなかったために,自らのそういう否定的な感情に直面した時,いったいどうしたらいいのかわからない。そういう現状があるのではないでしょうか。そのような感情を感じないように,感情を消去させるような対処をしてきた人が多いように思うのですが,それももはや限界に来ているのではないでしょうか。
昨今,感情労働をめぐる本が相次いで出版されて,大きな評判になっています。それは,看護職が感情という問題について困っていたり,あるいはそこに何か大事なことが含まれていることを直感的に気づいている人が多いことを反映しているのではないかと思います。
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