連載 看護学教育を考える・27
疑問を感じる能力,追究する能力はどこで
樋口 康子
1
1日本赤十字社幹部看護婦研修所
pp.580-581
発行日 1984年9月25日
Published Date 1984/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908006
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疑問をもつ余地のない教育
筆者が看護学生のころには,学校のクラスや実習の場で教えてもらった知識や技術は,すべて真実に思えた.疑問をはさむ余地もなく,そのまま正しいものとしてうのみに取り入れ,自分のものにしようと努力したものである.もちろん,教えてもらった知識や技術に対して疑問をもち,さらに究明していくことなど,看護教育の中でほとんど要求されていなかった.
また,教えてもらった知識や技術は,すべて理解できたかのように錯覚していた.そのときに理解したと思い込んでいた知識や技術は,自分の能力で受けとめられる範ちゅうにおいてのみ,しかも,自分の物差しで測定できるものだけを選択してうけとめていたのに,そのことに気づかず,いかにもわかったような顔をしていた.
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