Japanese
English
総説
ニューロン突起の形態追究
Tracing axons and dendrites of neurons
石塚 典生
1
Norio Ishizuka
1
1東京医科歯科大学医学部第三解剖
13rd Department of Anatomy, Faculty of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.1163-1175
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205227
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I.はじめに
神経系は伝導路の複合体とみなされている。従って伝導路の研究が長い歴史と厖大な所見を有し,神経解剖学の主柱をなしてきたことは事実である。しかしその研究手法に制約されて従来の伝導路研究が神経線維の集合体,すなわち神経線維束を対象にせざるを得なかったこともまた事実である。これに対し現在の神経科学は一つ一つのニューロンについての結合関係を要請しはじめている。ニューロンの形態学的特徴は樹状突起と軸索突起という二種の突起をもつことであり,これらの突起の結合関係を直接解析することが求められているわけである。
ニューロン突起の光学顕微鏡による探求の経過は四つの時期に大別されよう。第一期は18世紀初頭から19世紀後半にかけて神経細胞体および突起が発見されるに至った時期。第二期は19世紀末より20世紀半ばに至るまでの,ゴルジ染色法による突起の広汎な記載の時期。とりわけ"ニューロン説"の確立された時代にあたる。第三期は1960年代にはじまるゴルジ法を用いた単一ニューロンの三次元的形態把握と定量化の始まった時代。そして第四期は1970年にはいって発展してきた細胞内染色法を用いての機能と形態の同時解析の時期である。
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