読者からの手紙
現在の訪問業務に疑問を感じる
村山 正子
1
1東京都中野北保健所
pp.9
発行日 1964年5月10日
Published Date 1964/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203095
- 有料閲覧
- 文献概要
保健所に就職してから,短いような長いような2年の月日が過ぎてしまいました.よく,学校で学んだことと現実との矛盾に,悩むことはないかとの質問をうけますが,私の場合は,学生時代の勉強が身についていなかったせいか,すべてが新しい事実であり,それを経験することでせいいっぱいの2年間だったようです.はじめのころは,事例に接していても相手の気持ちがつかめず,自分の指導が適切だったか,何か手落ちはなかったかと,不安が残り,自信もなく困まったものでした.しかし,類似の事例を何回か経験するうちに教科書の型どおりの指導を,事例の社会的背景により応用する技術が,少しずつでも身についてきたような気がします.また,集団指導の場でも,相手の反応が感じられるようになりました.事例の社会的背景を知り,その気持ちを理解することは,保健指導の第一歩ではありますが,そうすることがまた,容易でないことも,少ない経験の中から感じていることです.
今まで,自分の保健婦としての不適格,未熟さを考えさせられる事態が,何度かありました.これからも,この問題にたびたびぶつかるだろうことは,すぐ想像されます.自ら進んで体験し,種々の研究会,事例研究などから,先輩の経験に接し,早く自分の経験を豊富にしてゆく必要を感じているところです.一人前になるには,まだまだ長い道程が目に見えます.
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.