連載 とらうべ
愛想も能力のうち
杉野 元子
1
1看護組織開発研究所
pp.707
発行日 1994年9月25日
Published Date 1994/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901091
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週刊誌「AERA」(1994年7月4日号)を読んでいて,ヤッタ!さすがAERAや!と叫んだ記事は,「気分は半クエスチョン—当世若者話し言葉事情」であった。最近いやに耳について腹立たしかったから,よくぞ書いてくれたとカタルシスされる思いだった。
話の間で単語の語尾を上げる。若い入たちが連発するだけでなく,しっかり者の婦長さんや看護学校の先生方でもそうなのだから気になる。話の途中キーワードらしき単語のイントネーションが尻上りになり,一瞬質問風。ン?たずねられたのかと賛否をこちらが表明する間もあらばこそ,相手のお話はスルスル続くのだ。書くと「今日のカンファレンス? の講演? 皆さんにも興味深かったでしょう」のようになる。断定した言い方を避けつつ自問しているような,疑問文のようで実は疑問などなく,確信を持ったお話が続く。このコミュニケーションは疲れる。相手は無意識なのだろう。自覚せず連発するので私の神経にさわる。相手におもねているようでありながら,次の瞬間にどんでんがえし。きっちり意見表明だから,なんや!?という気分になるのだ。
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