特集 戦後看護教育
戦後看護教育論の変遷—昭和20-30年代を中心に
岸 好子
1
,
鵜沢 陽子
2
,
花島 具子
2
1千葉大学教育学部特別教科
2千葉大学看護学部付属看護実践研究指導センター
pp.541-560
発行日 1984年9月25日
Published Date 1984/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908002
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はじめに
1983年4月,日本看護協会は,‘保助看法制定時に比べ格段に看護職の役割は拡大・変化しているのに,看護教育のみは現実に立ち遅れ,時代遅れ’であるとして,①准看護婦制度の廃止,②看護基礎教育は4年制大学を志向し,保健婦・助産婦・看護婦の総合教育をめざす,という2点を柱とする,制度改正に向けての基本方針を打ち出した1).戦後学校教育制度の見直しが叫ばれている中で,看護教育も,今また1つの転換期を迎えようとしているのではないだろうか.
現在の日本の看護教育の基礎が形作られたのは,昭和20(1945)年の敗戦によるGHQの占領期であった.戦前の看護婦は医師の下におかれ,その教育も一部を除いて各病院自前のものであった.それが一連の民主化政策のもと,婦人の地位の向上とからみあって,看護婦は医師の従属物ではなく,医師と横の関係にあり,車の車輪であるという考え方が導入されたのである.
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