特集 保健所活動30年記念特集
保健所活動30年史
主題
保健所—30年の発展のあとをたどる
昭和30年代の新しい展開
田波 幸男
1
1日本肢体不自由児協会
pp.503-508
発行日 1967年9月15日
Published Date 1967/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203526
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急激な経済情勢の陰にかくれた衛生対策
昭和30年代から今日に及ぶ時期は,後世の歴史に特筆されるのではないかという気がする。そのように急速にめまぐるしく発展変化をした時期は史上めずらしいのではないかと思われる。ほとんどあらゆる人々がこの激しい変化にひきずりまわされ,政策もまた同様である。由来政府の施策は,はたからみるとのんびりしたもので,適時適切なる対策が行なわれるというようなことはあまりないし,いわんやあらかじめ対策を講じておくということはさらにない。初期の公衆衛生もコレラの大流行にいささか度肝をぬかれた結果発展したもので,以来事象のあとを追いかけている傾向が今日でもつづいているのであるが,客観情勢の動きが早いためいっそうこの傾向がつよくなっている。
昭和30年代といえば,わが国の経済が史上空前の発展をとげた時期であった。30〜31年には神武景気という大好況が現われて,神武以来ということが盛んにいわれた。何でも神武以来であったが,34年になるとさらに岩戸景気という神武景気を上回る好況がやってきた。それに伴って今日さまざまな分野にみられているような状況がぞくぞくおこりはじめた。たとえば,急激な人口の都市集中,それに伴う上下水道問題,公害問題,所得格差,地域格差などなど。
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