講座 日本の看護の歴史・5
前近代・5
中世の医療と看護 [1]中世の人びとの生活と健康/[2]仏教と救療事業
遠藤 恵美子
1
,
加藤 文三
1
,
上坂 良子
1
,
坂本 玄子
1
,
高橋 政子
1
,
渡部 喜美子
1
1看護歴史研究会
pp.820-827
発行日 1987年12月25日
Published Date 1987/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908466
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中世には,人びとの暮らしも大きく変化した.中世とは一口にいうと,荘園制1)の社会である.京都の貴族の政権とは別に,武士の政権が生まれたが,武士は農村に住み,農民を従えてその支配をひろげていった.農村では牛馬による二毛作などが進み,それまで奴隷として働いていた下人も,家族をもち,独立した小屋に住み,一定の土地を耕作する農奴として成長していった.この時代の人びとの負担は,古代のように直接労働ではなく,公領でも荘園でも,名という単位ごとに課せられた年貢である.荘園には市がたち,手工業者や商人も活躍した.
中世は,武士,農民,手工業者,商人,僧侶などの動きが活発になった時代である.
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