大正看護史・10
マスコミに現れた看護婦像—その1
渡部 喜美子
1
1都立鷺宮高校
pp.653-658
発行日 1982年10月25日
Published Date 1982/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907732
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マス・コミュニケーションが描く看護婦像は,いまもなお大正時代と変わらない状況をみることがある.ある日,電車の中の広告で‘保母・看護婦・美容師ひと味ちがう転身トルコ嬢’(“宝石日誌”)の大きな見出しには驚かさせられた.
またテレビのチャンネルを偶然回して,白衣の看護婦の映像を見るとはなしに見ていると,戦前を風びした‘愛染かつら’や‘月よりの使者’などの映画と類(たぐい)の医師と看護婦の情事を描いたメロドラマが放映されている.雑誌やテレビは,今も昔も変わらない看護婦像を人びとの前に写し出している.戦後,看護婦の地位が向上したと思っているのは看護婦たちだけのことだろうか,一部の偏見といってすまされない問題である.それらマスコミが作り出した看護婦の源流が大正後期にあると仮定し,そのことを究明したいと考えた.
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