大正看護史・1
大正看護の前史—明治から大正へ
渡部 喜美子
1
1東京都立鷺宮高等学校
pp.60-66
発行日 1982年1月25日
Published Date 1982/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907641
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連載に当たって
看護歴史は,戦前のほとんどの看護学校では,教科としての存在はもちろん,それらの話すら聞くことは少なかった.しかし昭和7年に赤十字社からドック著“世界看護史”が翻訳発行され,それ以後昭和9年日赤看護婦養成所のカリキュラムには“赤十字事業ノ要領”とともに看護史が養成部長によって講義されている.また聖路加女子専門学校でも,昭和10年の学科課程に‘看護史及看護道徳’として,12時間をミセス・シー・セントジョンが担当している.これら2つの学校では,その特質をふまえての講義がされていたようである.全体としては,戦争直後の新しい看護学校に,看護歴史と看護倫理が位置づけられた.
それとともに,GHQ看護課では日本に看護歴史書がないのを察知してか,セリエー・ヌエッセ共著“看護史”(極東学芸通信社刊)翻訳を,ミセス・オルトの序文付きで発行(昭和24年)され,それが私の初めて手にした看護歴史書である.この本を手にした当時(昭和27年)は,公衆衛生院正規看護学科(1年コース)に受講していた時で,メアリ・S・ガードナ著“公衆衛生看護学”(昭和25年)と合わせ,看護歴史(特に公衆衛生看護史)教案を作成する際の参考書となった.
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