大正看護史・12 最終回
大正から昭和へ
渡部 喜美子
1
1都立鷺宮高校
pp.848-853
発行日 1982年12月25日
Published Date 1982/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907766
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大正看護史は,15年間と短い時代ではあるが,明治末期から大正10年ごろまでの前期と,大正11年ごろから昭和初年までの後期とでは,看護業務内容の大きな変化がみられ,また看護婦,特に派出看護婦に対する社会的評価が転換した時期とも思われる.
大正前期には,明治の近代看護教育を受けた看護婦たちが,伝染病看護や救護看護活動に目覚ましい活躍の跡を看護界に残した.しかし後期には,ほかの新しい職業婦人の中にあって,マスコミは看護婦の風紀問題を大きく取り上げ,特に派出看護婦会に対する評価は悪かった.また病院の看護婦についても,医師の隷属的な印象を人々に与え,それは昭和20年の敗戦まで続き,今日でも看護婦像の一面にその姿を残している.
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