教育人間学の探求・1
プロローグ
伊藤 順康
1
1東京理科大学
pp.55-59
発行日 1982年1月25日
Published Date 1982/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907640
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教育実践を規定する人間理解の深さ
現在,私は教育学を専門としており,所属校をはじめとして千葉大学,聖心女子大学などにおいて‘教育原理’‘社会教育学’などの講義を行っている.しかし,私は教育学の研究そのものを志してきたわけではなかった.私の関心は人間の生き方,書生くさい言い方をすれば人生論とでもいうべきところにあり,できればそれを学問的に研究したいということであった.そこから出発したのであるが,終着点として教育学,なかでも成人教育学に到達したわけである.
一般には,教育学研究の1つの基礎条件として,その研究のために素材としての児童・生徒の理解,つまり人間の理解を追求するというのが道すじであり,また教育学の発達史もおおむねそのようであったといえる.それに対して,私の場合必ずしも教育学の研究に初発の関心があったわけではなく,あくまでも人間学の研究に関心があったわけで,ただその研究を職業的に追求していく,いわば1つの生き方として成人教育学を選択したということである.
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