病気のある風景・9
ひと言もしゃべらなかった患者の部屋でのこと
徳永 進
pp.576-582
発行日 1980年9月25日
Published Date 1980/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907478
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4月の下旬の土曜日の午後,救急車でひとりの女性が運ばれてきた.
45歳.意識がない.腰椎穿刺が行われ,血性の脊髄液が採取され,クモ膜下出血か脳出血の脳室穿破が疑われた,患者は太っていてゴウゴウといびきをかくだけで,手も足も動かない.乳頭への強い刺激にも全く反応しない.瞳孔は散大し対光反射もない.
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