起爆と原点・6
[第2話]昼の部と夜の役者たち—[その3]
箙 田鶴子
pp.583-586
発行日 1980年9月25日
Published Date 1980/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907479
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フランケンシュタインというのではない.特に小人でもないのだが,子供のまま掌や足だけ大人となった式で,よく見れば童顔ともいえそうな丸顔が,瞳孔をすうーっとせばめると酷薄無残な表情となる.片耳はいつのころの喧嘩でか半ば食いちぎられ,片手の親指といま1本は詰めて失っている.
それらは後年のことであるにしても,少年時代から友人間でわけて秀でる方でない頭脳をも腕力でカバーしようとし,望みどおり力では彼に勝つ者がなくなったかわり,忌み恐れられて一層仲間外れとなっていった.
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