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教える者の条件(2)
大段 智亮
1
1看護人間学教室
pp.247-253
発行日 1978年4月25日
Published Date 1978/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907205
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ある臨床指導者の悩み
これも真夏の山上のすばらしい環境で持たれた学習会でのことであった.あるグループからひとりの臨床指導者が出てきた.見たところ26-27歳の(もっとも女性の年齢判定におけるわたしの能力はまことに怪しいので,保証の限りでない)優しそうな,だがしっかりした感じの人である.少し暗い,悲しそうな顔をしているようにもみえる.職場ではいわゆる中堅クラスで,仕事のことも十分わかってきてまごつくようなことはないが,反面,まだまだ若さがあって,がんばりもきく.だから,若い看護学生を現場で指導するには,まことにふさわしい年ごろといってよい.そういう年ごろである.
さて,彼女は現在とても悩んでいる.彼女は臨床指導者になどなりたくなかったのだ.いや,なりたくないのではないが,こうした役割を引き受けてゆく条件が,この職場での自分にはまったくない,と感じている.ちょっと彼女の悩み,彼女の訴えをきいてもらいたい.
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