成人看護学の展開
呼吸器疾患患者看護の教室と臨床における指導の1展開
高木 永子
1
,
阪本 恵子
2
1東邦大学高等看護学校
2新潟大学医療技術短期大学部看護科
pp.729-736
発行日 1975年12月25日
Published Date 1975/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906940
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Ⅰ.はじめに
成人の呼吸器疾患患者は,小児に比べて病状経過が一般に緩慢であり,呼吸器の病状が直ちに中枢神経系・消化器系など全身に波及することは少ないと考えられる.しかし呼吸器系組織の形態的・機能的変化(加齢現象)に伴う疾病のり患傾向が強く,しかも生涯にわたって生活をコントロールして過ごさなければならない場合も少なくない,また,近年,タバコ・公害(大気汚染)などと呼吸器疾患との関連がクローズ・アップされ,殊に年少者や女性に愛煙家が増加していることや,喫煙者が喫煙を断ち切ることの困難さなどは,看護においても考えなければならない.すなわち,加齢現象に加えて,生活環境・生活習慣が発病や病状悪化,完治困難な病気へと進行させて,その人の生活が長期にわたって侵害され,身体的苦痛のみならず精神的・社会的問題を生みだしている.
学生がこれらの悪循環に気づき,それを予防・解決していくために,成人看護学概論・成人保健などを土台として,呼吸器疾患患者の看護の基礎的な考え方,内容,方法を教え,それらを踏まえて個々の対象に向かって看護を応用展開できるものにしたい.
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