日本看護協会看護教育問題研究会分担研究報告・5
看護教育基礎課程における臨床実習の意義および展開例の報告
金井 和子
1
,
河合 千恵子
1
,
若林 貴美子
1
1東京女子医科大学看護短期大学
pp.92-99
発行日 1975年2月25日
Published Date 1975/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906858
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
従来,看護教育においては臨床実習が学生の技能訓練の場として重要視され,多くの時間と努力が費されてきた.このことは,教育が,卒業後すぐに動ける看護婦,すなわち看護を患者中心でなく業務中心と考えて動く看護婦の育成を目指していたことに由来しているのではなかろうかと考える.しかしながら,看護の概念が広がり,それとともに看護の対象が持っているそれぞれの‘個別性’が大きくクローズ・アップされてきている今日,看護婦の能力は対象の‘個別性,を踏まえて,その対象が最も必要としている看護が与えられるような深さと広がりが求められている.さらに,医学の進歩,医療技術の発展に伴い,看護技術にも種々な面で進歩,発展,改良が要求されてきている.
このような期待にこたえ得る能力を持った看護婦の育成が看護教育の目的であり,この教育は専門職業教育として位置づけられよう.そしてこの能力は生涯にわたって自己教育によって伸ばされていくものであるが,我々はここでは,看護教育基礎課程である高卒3年課程に視点を置き,その臨床実習について考えていきたい.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.