連載 HIV/AIDSケア 再考・6
合併症とケア―個々の疾患に対して
村上 未知子
1
,
畑中 裕子
2
,
山田 由紀
2
,
井上 誉子
2
,
武田 謙治
2
,
矢野 麻子
3
,
石垣 今日子
2
,
中川 裕美子
2
1東京大学医科学研究所附属病院
2国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センター
3前国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センター
pp.861-867
発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101084
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
性感染症とセクシュアルヘルス 村上未知子
HIV感染症は「私たちが見ることを回避してきた個々の関係性に由来した問題を浮き上がらせる」疾患,つまり,「婚外交渉」「不倫」「売買春」「同性間性交渉」など,多様な「性」の在り様を浮き彫りにする疾患である.
こうした疾患に罹患した人々は,差別や差別されることへの不安による深刻な問題を抱えて生きることになるが,クラインマンは,差別される病とスティグマのために周囲から避けられ拒絶された経験を持った人々は,実際の拒絶反応が起こる前からそれを予期し,自らの行動や態度を規制する「自主規制行動」をとることがしばしばあると指摘している.この自主規制行動には「人との親密な付き合いを避ける」などソーシャルネットワークを限定する行動や態度も含まれ,今回テーマとしている「性」「セクシュアルヘルス」への影響も,これまでにいくつかの先行研究で指摘されている.また,性生活における満足度と抑うつ傾向との関連性について指摘した研究もあり,QOLを考える視点からもセクシュアルヘルスは重要なテーマである.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.