ものがたり教育史 日本の女子教育・その10
ファッショ化と女子教育
中嶌 邦
1
1日本女子大学文学部史学科
pp.63-66
発行日 1968年2月1日
Published Date 1968/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905978
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昭和の時代へ
第一次世界大戦の戦後恐慌につづいて,大正11年には銀行恐慌,翌年には,関東大震災にともなう恐慌と,日本経済は手痛い打撃をつぎつぎとこうむった。この恐慌の度に政府から放出された救済資金その他は,一時の破綻をつくろうだけで,むしろインフレを助長し,中小企業・労働者・農民など一般庶民の生活に圧迫を加え,慢性的不況を導き,社会的にも不安定な時期となった。
こうした状況は,昭和の時代へももちこまれ,昭和初期の金融恐慌,さらにひきつづいて,アメリカのウォール街から始まった世界恐慌の嵐にゆさぶられ,工業部門ばかりでなく,農業部門にも深刻な打撃が加えられた。こうした危機をぬけ出すために,政府を中心とする,日本の独占資本主義は,満州市場の確保を要求し,軍部も国防の見地から,同様に満州進出を企画し,昭和6年(1931年)満州事変がおこされ,翌年には,傀儡政権である,満州国の建国を行なった。
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