随筆
太田正雄教授のこと
北村 包彦
1
1東京逓信病院
pp.309
発行日 1967年3月10日
Published Date 1967/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200119
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"……此情勢の下にては何よりも朝聞道夕死可矣と云ふ文句が身にしみ,別に方向を転ぜず,従来の業務及研究を継続いたし居候……"
これは昭和20年5月東京から長崎の私へ寄せられた故太田正雄教授の葉書で,岩波版の木下杢太郎全集第12巻,書簡の部に収められているものの一齣である。終戦3カ月前これを書かれた心境が偲ばれるが,全集の同じ巻,昭和19, 20年の日記には当時東京での生活が写され,冬の夜,厳しい寒気の中で屡々空襲警報に脅かされたことなどが出ている。
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