連載 看護教育の理念を求めて
看護教育に関する若干の問題
宮崎 達
1
1国立国府台病院
pp.50-53
発行日 1967年4月1日
Published Date 1967/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905803
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1.管理者から見た看護婦
看護教育という場合,広くpost graduateの教育訓練も含めた一貫した方針に基いて実施されねばならないことは論をまたないところである。問題をunder graduateに限って見ても,その目標として結局は社会または施設がどのような看護者を要望しているか,その要望を高い次元において考慮しながら教育して行かねばならないことも自明の理である。
私は施設長として,その立場からの発言を編集者は望んでおられることと思うが,施設者側という場合思い出すのは戦前の赤十字看護婦のことである。入学資格高等女学校卒業程度,修業年限3ヶ年という赤十字救護看護婦の教育は,当時一般の看護婦が大部分高等小学校卒業程度という状態に比べて,遥かに高い教育課程となり,従って一般教養においても,また専門技術においても一般の水準を飛び離れており,特にいわゆる精神教育の面では格別の考慮が払われた。すなわち「赤十字精神」ということで,「報国恤兵」「艱苦に耐え欠乏を忍び」云々と,現在のわが国では,ちょっと通用し難いものではあったが,当時としてはそれなりに,ちょうど一般学校教育における教育勅語のように,看護教育の根本理念として叩き込まれてきたものである。
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