調査
家庭応急常備薬をめぐる若干の問題
小野寺 杜紀
1
1神奈川県立衛生短期大学
pp.688-689
発行日 1974年12月10日
Published Date 1974/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205548
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まずはじめに,保健(看護)指導の企画・実施には,看護専門職が非専門職の人々を指導するのだという考えが存在することを念頭に置く必要がある。言い換えるならば,本来看護専門職にある者が修得している専門技術によってなしうる行為の延長線上に素人をおいて,前者即ち看護専門家の肩代わりもしくはmini-nurseとしての役割を後者に期待することを称して保健(看護)指導と呼ぶならば,それは筋違いといわなければなるまい。
これこれの病気を予防・治療できなかったのは,当人あるいはその家族がそれらに対する専門知識もしくは看護技術を欠いていたからであるという理由のもとに,知識の伝達あるいは技術指導そのものが目的視され,その結果が個人の責任に転嫁されてしまうがごとき姿勢を伏在した指導が,従来多くなされていたのではないだろうか。だからといって,技術指導そのものがこの場合に不適当だというのではない。保健(看護)指導を受ける側が日常生活の営みの中でなしうる看護のすべとしての基礎的な看護技術を身につけることによって,より健康な生活を送るための一手段を獲得できるならば,それなりに意義がある。しかし,その技術を修得させることが保健(看護)指導の本来の目的にすりかえられてはならないのである。
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