特集 臨床実習における評価の工夫
—評価の方法・2—逸話記録ノート・過程記録・カンファレンス・看護症例報告
大塚 寛子
1
1東大医学部付属病院分院内科
pp.13-16
発行日 1965年2月1日
Published Date 1965/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905413
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今日の教育の傾向は看護においてだけではなく,広く学生に「自分で正しく物事を考え,判断行動する」ことを強調していると思う。看護のあり方についても,たんに患者の世話をするという手先の技術のみでなく,患者にも回復意欲をもたせたり,自主性をもたせるよう支持相談をしたりというような能力も要求されてきた。もちろん,昔より外面的な看護のみでなく,患者のもつ内面的な問題もみい出し,それに対処する必要性はナイチンゲールも強調したことではあるが,果たして,実習の場において,そのような能力を培う機会が与えられてきたか疑問である。評価という面でも技術的な面が強調され,初めより何と何のテクニックが経験できたというチェック・リスト形式のものが多く使われてきた。
私たちはどういう看護婦を育てたいか考えるとき,実習のあり方についてあらためて考え,教育の効果を推進させる評価方法についても再検討を必要とする。私たちが育てたいと思う看護婦のイメージが,もし「正しい判断力と行動力をもつ人」であるならば,初めから学生に考える機会と責任をもたせなければならない。
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