調査研究
看護者アイデンティティの確立を促す授業の試み―先輩看護者へのインタビュー実習
逸見 敏郎
1
1立教大学
pp.558-561
発行日 1998年7月25日
Published Date 1998/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903808
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はじめに
青年期の心理社会的発達テーマはアイデンティティの確立である.特に青年期後期では,社会的に自己を定位させるために職業を選択し,職業人としてのアイデンティティを確立してゆくことが重要なテーマとなる.看護学生は一般の大学や短大,専門学校へ進学する学生に比べ,学校選択=職業選択となっていることが特徴であると言えよう.しかし松下・木村(1997)の調査は,看護学生は看護学校進学に際して十分な進路指導を受ける機会を得ることが少ないまま進学してきていることを示している1).また逸見(1997)は,看護学生は「てきぱき,きびきびと働く専門職」という看護者イメージへの憧憬をもとに小学校から中学校にかけて看護職への進路選択をする傾向がみられること,その一方で看護学校入学後は濃密なカリキュラムに従って勉強しなければならない現実とのギャップに戸惑う姿がみられることを明らかにした2).従って,看護学校入学後に自分自身の進路選択に対して迷いを感じたり,また進路変更を余儀なくする学生も少なくなく,看護学校への進学が職業的アイデンティティの確立を示しているとは必ずしも言えないのである.
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