調査研究
モデルを用いた擬似患者体験―浣腸演習前後の学生反応比較
藤井 徹也
1
,
山田 聡子
1
,
岡本 和士
1
,
太田 節子
1
1愛知県立看護大学
pp.552-557
発行日 1998年7月25日
Published Date 1998/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903807
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はじめに
看護教育において「体験学習」は,多くの場合,学生同士による相互関係(以下直接体験とする)を意味し,「看護者体験」と「患者体験」の2つの側面から成り立つと考えられる.そして「体験学習」は、学内での看護技術の演習や実習において多くの場面に取り入れられ,検討されている.
星らは,「体験学習」について「すべての看護技術への適用については支障があり,特に『排泄』についてはプライバシー保持などに問題があると思われる」と報告している1).また,成田らは,「体験学習」について身体的・心理的侵襲の尺度により看護技術項目を分類し,項目によっては「体験学習」が学生へ心理的・身体的に多くの侵襲を与える可能性があることを明らかにした.そのうえで,教育上の教材研究の必要性を指摘している2).また,学生は,不安や葛藤などを多く持ち,動揺しやすい青年期にある.このことは,特に「患者体験」について,学生のプライバシーを十分に考えた演習や実習を展開する必要性があることを意味すると思われる.益子は「体験学習」について「学生の気持を大事にし,教師が力量を発揮し,学生にいやな思いをさせず体験に近い学習効果ができないか」と訴えている3).
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