特集 “いのちの授業”を学生に贈る
【インタビュー】“いのちの授業”を子どもたちへ
日野原 重明
1
,
堀 成美
2
1聖路加国際病院
2国立感染所研究所
pp.1036-1040
発行日 2008年11月25日
Published Date 2008/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101066
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教育は実際的なテーマに即するもの
堀 多忙な日々のなか,“いのちの授業”のために全国の小・中学校を訪問されておられますね。
日野原 これまでに約80校回ってね。最近は頻繁になって,10日に1回ぐらい回っているかなあ。
そもそも僕が小学校で授業を行ったのは,NHK教育テレビの『シリーズ授業 聖路加看護大学学長・日野原重明“からだの中のポンプ・心臓”』(1987年5月27日放送)で,母校の神戸の諏訪山小学校に出かけて行ったのが最初で。小学5年生相手にね。その頃,「血圧はお医者さんが測るのじゃなしに,一般市民の銘々が測るべき」という運動をライフ・プランニング・センターという財団を創設して行ってもいてね。子どもは耳がいいから正確にできると思って,聴診器を20本もっていって,そうして2人に1つ配ってお互いの心臓の音を聴かせて,血圧も測らせて。1時間の授業で,心音もわかるし血管音も聞こえるようになったから,「じゃあ帰ったら,お父さんかお母さんか,おじいちゃんかおばあちゃんの血圧を測ってあげなさい」というように教えて。そういう授業のときの子どもの目の輝きを私はずっと覚えているから,教育というのは,やっぱりこういう実際的なテーマに即するのが本当の教育だというふうに,かねがね思っていたんだよ。
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