特集2 効果的な臨地実習を考える
実態調査からみた臨地実習とその教育上の課題―国立大学医療技術短期大学部看護学科連絡協議会臨地実習委員会の報告より
原 萃子
1
1国立大学医療技術短期大学部看護学科連絡協議会
pp.1070-1090
発行日 1993年12月25日
Published Date 1993/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903677
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
わが国の看護婦養成教育において臨地実習(病院・地域等学校以外の教育現場で行なう実習の総称)は古くから看護の実践能力育成のために重要視され,多くの時間がそれにあてられてきた経緯がある.先のカリキュラム改正を機に実習時間の削減がなされたものの,その全体的傾向は今日においても変わりはない.むしろ,臨地実習で果たすべき教育的課題は増大する内容を精選,整理し,その質的向上が求められる結果となった.これは看護教育において臨地実習が有用かつ必要であるとする考えの証であると同時に,臨地実習における教育方略の開発が必要とする示唆と捉えることができる.
しかしこの一般的に重要と認識されている臨地実習も,その根拠となると指定規則に依存するか,或いは指摘レベルの異なる個人的見解に依拠する傾向が強くみられ,その説得力も十分とは言い難く,なお曖昧さを今に残している.今日,看護系学会における臨地実習関係の報告は年々増加し,その意識の高まりがみられるにもかかわらず臨地実習の本質的意義並びに有用性・必要性に関わる合意を得るには至っていない.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.