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一期生としての抱負
さて,私たちの京都大学医療技術短期大学部衛生技術学科を,今回紹介させていただくのですが,本校をご存じない方も多数おいでのことと思います.それは当然のことかもしれません.なぜならば,医短大としては昭和50年に,衛生技術学科としては同51年に,開設されたので,その歴史というものは皆無と言ってもよいからです.しかし,本学科は全く基盤のない所に発足したのではなく,そのルーツは昭和34年開設の衛検技師学校にさかのぼり,医短大の本学科としては,それ以来の医療従事者育成の歴史を引き継ぐことになるのです.そのため,本学科のスタッフは臨検技師学校以来のベテランが,学生教育の核をなし,それを補うべく,新しい人材も登用され,全体の教授陣容は,他校にも必ずや優るものと確信しております.あとは,私たち学生が,いかにしてうまく,このスタッフを利用させていただくかという問題です.
ところで,学生生活について少し述べてみます.今,それに関して最も不満というか,不便を感じていることは,施設の問題です.現在使用中の建物は,臨検技師学校のものであって,驚くなかれ,明治38年に建てられたのでした.当初は,結核患者の病棟であったのが,技師学校に充てられ,現在は私たちが使用しています.京大のなかでも,建物の古さでは屈指で,その老朽化は目も当てられないほどです.実習時も,部屋が狭くて大変な不便さを味わっております.しかし,新校舎の建築は,私たちが入学すると同時に始まっていて,本来ならば,新しい教室で学んでいるはずだったのですが,工事の遅れのために,私たちが新校舎の恩恵にあずかることは絶望的となりました.工事の遅れの原因には,内日さす都らしさが漂う,というのは,工事現場から遺跡が出たので,その発掘調査が済むまでは工事を停止しなくてはならないからなのです.掲載されている写真は,新校舎の一部なのですが,ここにも遺跡があったのです.近い将来,建物に関する不満は解消され,後輩たちは快く勉学できるでしよう.
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