看護教育研究
看護教育従事者とその具備すべきもの―系統的文献レビューをとおして
澁谷 幸
1
,
田村 由美
1
,
中田 康夫
1
,
石川 雄一
1
,
津田 紀子
1
1神戸大学医学部保健学科
pp.703-710
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100466
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はじめに
近年,わが国の看護教育において,学生の看護実践能力をいかに開発・育成するかに関心が集まっている一方,それを担う看護教師自身の資質が従来にも増して問われている。本誌においては,2003年10月号で「教師に求められるもの」(Vol.43 No.9)という特集が組まれたが,このことからも大学・短期大学・専門学校を問わず,あらゆる看護教育機関において看護教育に従事する者(以下,看護教育従事者)そのものへの関心が高まっていることがうかがえる。
しかしわが国では,看護教育従事者については「看護教師」「看護教員」さらには「看護教官」という名称が混在し,また看護教育従事者がその職務を遂行するために必要なもの,すなわち具備すべきものについても「資質」「能力」「力量」などのさまざまな用語が用いられている。このような現状は,看護教育従事者の特性を不明瞭にし,そのため,その専門性や,求められるものについて,究明を困難にしているものと考えられる。小山1)は,わが国における看護教育に関する動向と今後の課題について述べているが,看護教育全般に関する文献検討は行われているものの,看護教育従事者の定義やその具備すべきものについての詳細は検討されていない。
そこで本稿では,わが国における看護教育従事者の具備すべきものに関する文献を系統的にレヴューし,本領域における研究の内容ならびに動向,今後の課題について明らかにすることを目的とした。
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