焦点 理論・研究・実践を総合するリフレクション
リフレクションとは何か―その基本的概念と看護・看護研究における意義
田村 由美
1
,
津田 紀子
2,3
1神戸大学大学院保健学研究科
2神戸大学
3前・宮崎大学医学部看護学科
キーワード:
リフレクション
,
リフレクションの定義
,
リフレクションスキル
,
リフレクションのレベル
,
リフレクションのフレームワーク
Keyword:
リフレクション
,
リフレクションの定義
,
リフレクションスキル
,
リフレクションのレベル
,
リフレクションのフレームワーク
pp.171-181
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100305
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はじめに
近年の看護をとりまく医療の動向においては,複雑性や不確実性などが浮き彫りになっており,専門職に課せられる課題も複雑かつ大きくなり,深刻なものがある。こうした状況に対応可能な看護専門職が緊急に求められているところであり,現状に即した質の高い創造的な看護実践と,そのような看護職の育成が急務であるといえよう。
このような状況のなか,D. Schönの主張する「専門家像の転換」という考え方が,時代を超えて現代に適合するものと考えられてきている。それはすなわち,「技術的合理性(technical rationality)」に基づく専門的実践家から,「行為のなかのリフレクション(reflection-in-action)」に基づくリフレクティブな実践家への転換ということである(Schön, 1983)。今まさに,この「リフレクティブな実践家」をめざした専門家の育成をしなければ,医療の複雑性に対応可能な専門家にはなりえないのではないだろうか。また東京大学教育学部教授・佐藤学氏も,2007年の日本看護学教育学会の教育講演のなかで「看護師は特にリフレクティブな実践家であるべきだ」と述べており(佐藤,2007),今後ますます,リフレクティブな実践家としての看護師が求められるであろう。
そこで本稿では,リフレクションの概念についてその理論的背景を概観するとともに,看護における意義について考えてみたい。それを通じて,リフレクティブな実践家に必要なものが何かを知る契機になればと考えている。
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