焦点
実践的思考能力としてのリフレクション能力育成のための指導の実際―リフレクティブジャーナルを活用して
田村 由美
1
,
中田 康夫
1
,
平野 由美
1
,
石川 雄一
1
,
津田 紀子
1
1神戸大学医学部保健学科
pp.452-456
発行日 2003年6月25日
Published Date 2003/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903426
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はじめに
近年,看護教育において,学生の看護実践能力の育成に対する関心が高まり,批判的思考能力や問題解決能力,特定の精神運動性やテクノロジーを駆使する技術,専門職としての価値体系を備えた学生の育成が重要となってきている1).筆者らは,看護実践能力の一部である実践的思考能力,すなわち「その人とその人を取り巻く状況を的確に判断し,状況に応じた看護を実践できる能力」2)に焦点を当て,その育成を目指している.これは「リフレクション能力」ともいわれ,欧米の看護教育に広く浸透している.
リフレクション能力を育成する教授―学習方法にはさまざまなものがあるが,いずれもリフレクションを行うために必須となるスキル(以下,リフレクティブなスキル)3~5)の修得が基盤にある.また,リフレクティブなスキル修得のための教授―学習方法に唯一というものはない.そこで,筆者らは,このリフレクティブなスキルの修得のために,学部学生が比較的取り組みやすいリフレクティブジャーナル4)(以下,RJ)を臨床実習において実習日誌として導入した.そして,RJはリフレクション能力あるいは看護実践能力の育成に効果的であるという海外の評価6~11)と同様,文化・背景の異なるわが国でも,学生のリフレクティブなスキルの活用を促進し,それらの修得に効果的であるという示唆を得た12).
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