看護教育研究
看護学生の共感性と関連要因の検討―女子大学生との比較から
林 智子
1
1岡崎女子短期大学
pp.580-585
発行日 2002年7月25日
Published Date 2002/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903243
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はじめに
「共感」は看護にとって重要な概念のひとつで,共感に焦点を当てた論文も少なくない1)~4).しかし,研究論文という観点からみると,実証的データに基づく研究はまだ途上のようだ.
共感の研究が活発に行われている領域のひとつは心理学である.その研究は,主体が客体と同じ感情状態になることを強調する受動的アプローチと,主体が客体の立場に立つという認知面を強調する能動的アプローチに分けて行われてきた.近年は,共感の多面的な性質を認識できる包括的な研究の必要性が高まってきている.Hoffman M. L. 5)は,共感を,「認知的な役割取得」,他人の苦痛からもたらされる「個人的苦悩の感覚」,そして「他人についての同情あるいは配慮の感覚」を含む構成概念とする考え方を示している.つまり共感とは他者の視点や役割をとる認知面に感情反応が伴って成立するというものである.これに基づき,Davis M. H. 6)は,情動と認知の両面を含む尺度としてInterpersonal Reactivity Indexを作成している.
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