調査・研究
看護学生と教育系学生における共感性の比較―共感性尺度を使用して
白石 裕子
1
1前鳴戸教育大学学校教育科生徒指導コース修士課程
pp.734-738
発行日 1996年9月25日
Published Date 1996/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903767
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
女性の職業において,看護婦と教師は,社会的に容認された専門職の双壁といえるだろう.どちらの職業においても,高度な専門的知識が要求されるばかりでなく,対人間の職業として,人間的な資質も求められることが多い.特に昨今,教育現場においては,不登校やいじめの問題,医療現場においては,ターミナルケアなど,教育者や看護者の人間理解や洞察力,感受性など,技術的な面だけでなく,パーソナルな資質も問われることが多くなって来ている.
対人専門職として,カウンセラーがまず挙げられると思うが,心理療法において,治療者の共感能力は重要な要素であることはよく知られている(Rogers,1980).そこで今回,対人専門職としての看護婦および教師を選択または指向している学生を対象に,“共感性”という尺度を用いて比較研究する試みを行なった.ここで,共感性の概念規定については,角田(1991)1)の「共感性とは『能動的または想像的に他者の立場に自分を置くことで,自分とは異なる存在である他者の感情を体験すること』とし,特に強調されるべき点は『自分とは異なる存在である他者』にあり,自己と他者の個別性の認識が確立されていること,であり,自己中心的な自他認識ともいえる同情とは区別される」を基本的なものとした.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.