看護教育研究
Davisの共感組織モデルを用いての検討―臨地実習で学生がとらえた共感性
神戸 美輪子
1
,
坂本 雅代
1
1大阪府立看護大学医療技術短期大学部看護学科
pp.392-397
発行日 2001年5月25日
Published Date 2001/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902506
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
研究目的
病床にあり,あるいは障害をかかえて,老・病・死に直面する人々を襲う苦痛や苦悩は様々である.看護者が,それぞれに異なる背景をもつ患者の苦しみを真に理解しようとするとき,共感は重要なものとして位置づけられる.しかしながら,共感の定義自体がさまざまに存在し1~4),看護学生に何をどのように伝えればよいのかはとらえにくい.看護学生が共感したり,その意味を実感するためには,実習は重要な場として指摘されている5).受け持ち患者に対峙することで,学生は自らのありように戸惑いや喜びを感じ,その実体験の中から共感を学んでいく.
筆者らは学生のとらえる共感性についての事実を知ることは,共感性育成を考える際の一助となると考え,実習終了後の自由記載から学生の共感についての内容分析を試みた.なお本研究では,学生のとらえる共感性を広く扱えるという利点から,Davis6)の「共感は他人の体験についてある個人が抱く反応を扱う一組の構成概念」として広く定義し,その構成概念である組織モデル(図1)をもとに共感性を多次元的な現象として扱った.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.