連載 医療と社会 ブックガイド・11
優生学について・3―不妊手術の歴史
立岩 真也
1
1信州大学医療技術短期大学部
pp.1108-1109
発行日 2001年12月25日
Published Date 2001/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902661
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前回・前々回と優生学(eugenics)についての本の紹介を始めたのだが,その優生学とは何か.11月刊の社会福祉士養成講座『社会学』(ミネルヴァ書房)で私が担当した「常識と脱・非常識の社会学」の用語解説には次のように書いた.
「人間の性質を規定するものとして遺伝的要因があることに着目し,その因果関係を利用したりそこに介入することによって,人間の性質・性能の劣化を防ごうとする,あるいは積極的にその質を改良しようとする学問的立場,社会的・政治的実践.eugenicsの語は1883年にイギリスのF・ゴルトンFrancis Galtonが初めて使った.…19世紀後半から20世紀にかけて,全世界で大きな動きとなり,強制的な不妊手術なども行われた.施設への隔離収容をこの流れの中に捉えることもできる.現在では遺伝子技術の進展との関連でも問題とされる」
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