特別寄稿
公衆衛生・優生学・恋愛結婚―日本におけるその近代史の素描
加藤 秀一
1
1明治学院大学社会学部
pp.683-687
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100947
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「国民」の義務としての「健康」
私たちは「健康」が義務である時代を生きている.見紛う余地はない.2003年5月1日に施行された「健康増進法」の第二条には,その趣旨が以下のように明記されている.「国民は,健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め,生涯にわたって,自らの健康状態を自覚するとともに,健康の増進に努めなければならない」.
この短い文言のなかに重層的に織り込まれた諸問題のなかから,ここでは健康の概念そのものと,その義務化という本質的な2点だけを取り上げよう.
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