特集 医療倫理を学ぶ―21世紀における看護者の教育
第4部 医療をとりまく社会の変化
患者は医療者に何を求めてきたか―COMLの電話相談10年
辻本 好子
1
1ささえあい医療人権センターCOML
pp.952-957
発行日 2000年11月30日
Published Date 2000/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902393
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基本的ニーズは「安全,安心,納得」
患者や家族が医療と向き合うときに望むことはシンプルかつ単純,「安全,安心,納得」です.患者の誰もが,安全な医療であって欲しい,そして,安心と納得のできる医療であって欲しいと思うことは,これまでも,そしてこれからも変わらぬ当然の要求だと思います.病院へ行って帰ってくるまでの間,「私は絶対に不利益を被りたくない!」と思う患者の基本的ニーズは,少なくともこれまで,患者にとって当然ともいえる「医療の大前提」でした.
ところが昨今,連日のように報道される医療事故・ミスの背景から,どうやら私たち患者が当然のように思い込んできた「医療の安全神話」は単なる幻想,大いなる誤解でしかなかったことが少しずつ明らかになり,幻想や誤解が見事に打ち砕かれようとしています.と同時に,多くの患者たちは,「ならば,どうすれば自分の身を守れるか?」と,さらなる医療不信感を募らせて,無意識のうちに医療者との対立的感情を深め,身構え始めています.
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