特集 学生の主体性を読み取る―行動姿勢の視点から
行動姿勢を育てる学習の場をどう設計するか
大森 武子
1
,
矢口 みどり
2
,
大下 静香
3
1東京女子医科大学看護短期大学
2(財)能力開発工学センター
3福島県立医科大学看護学部
pp.441-444
発行日 1998年6月25日
Published Date 1998/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901846
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人間の行動を探る
道路に設置されている信号機は,青・黄・赤と一定のリズムでセットされた時間で,人の通行量に左右されることなく,コンピュータ操作により点滅を続ける.一定のリズムで途切れることなく正確に何時間も連続する作業は,コンピュータならではの仕事といえる.
一方,人間はふだんは信号に従って道路を横断するが,時として信号のない場所でも横断することがある.その行動は,横断しようと決定した本人が,その場の状況をよく読み取った結果である.すなわち,左右から来る車の量と車の速度を目で測定し,同時に道路の幅とその道路を横断できる自分の速度を測定している.その測定には,着ている服装,履物の条件,持ち物などが加味されている.車との距離に余裕があったとしても,道路幅が広かったり,身につけている物の自由がきかなかったり,横断する速度が遅いと判断したら,横断する行動に至らない.こうしてみると,道路を横断する人間の行動は,綿密に,しかもいくつかの要件を瞬間的に測定した結果といえる.
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