調査研究
患者の生活構造に関する看護学生の理解―3年次最終実習における受け持ち患者の入院前後の変化を中心に
佐藤 隆子
1
1福島県立会津若松看護専門学院
pp.130-138
発行日 1998年2月25日
Published Date 1998/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901782
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はじめに
病者の生活過程を調整することを独自の領域としている看護婦は,病者を理解するには病気の側面,すなわち身体的な側面を知るだけでなく,身体に対する精神的な影響および社会的な影響について理解することが求められる.なぜなら,病者は社会のなかで生活していた「生活者」であり,健康レベルの低下により生活の場が自宅から病院へ変わったにすぎず,多くは健康の回復によりいずれまた生活者として社会に戻るからである.
しかし,入院患者は,入院と同時に職場や日常生活の場から離れ,それまでの社会的な役割を担っていた人格が無視され,単に「患者」として医療従事者から扱われやすい.入院した患者は,たとえば「A棟405号室」の患者として扱われたり,あるいは「糖尿病の患者さん」と呼ばれるなど,病気の側面のみで扱われるとき,まったくの患者になったと感じるという.このような患者の見方は看護婦に求められる人間の見方からはほど遠いと考える.
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