調査研究
看護学生の重度障害児に対するイメージの変化―実習後の追跡調査を実施して
舟越 和代
1
,
多田 政子
1
1香川県医務福祉総務課
pp.660-664
発行日 1997年8月25日
Published Date 1997/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901669
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はじめに
1950年代にデンマークで精神薄弱者も地域で普通に暮らせることをめざしてノーマライゼーションの理念が唱えられて以来,今日ではそれが,あらゆる障害者,さらに老人を含めた福祉の基本的理念となってきた.加えてリハビリテーションの概念もADL訓練重視から生活の質をみていこうというQOLを重視する傾向が主体になってきている1,2).重度の脳性麻痺等の障害を持った子どもたちにも当然その理念は適応されるべきである.しかし,重度の障害であると,生活の場が施設もしくは家庭内のみ,学校も訪問教育や養護学校であったりと,学生が地域で重度の障害児と接する機会は極めて少ないのが現状である.
羅3)は各自の体験世界の中で生きている人間が自己の生活条件から遠く離れた状況を間接的に理解することは難しく,障害を負っている人と負っていない人の相互理解には直接的な接触が必要であると述べている.香川県の肢体不自由児施設重度棟でも,障害児の理解を深め今後の学習活動に生かすという目的で看護学校の実習を受け入れているが,障害児との直接的な接触は,学生が障害児を理解する上で重要な機会になっている.
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