連載 公衆衛生学 見方を変えたら・5
生活の中の磁場
清水 英佑
1
1東京慈恵会医科大学環境保健医学教室
pp.647
発行日 1997年8月25日
Published Date 1997/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901665
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大航海時代には磁石は重要な道具であった.マゼランやマルコポーロが安全に航海できたのは羅針盤のおかげで,これは地球が巨大な磁石であったからである.今日では,人工衛星から出される電波により,船も航空機も正確に目的地に向かって航行できる.地上ではカーナビゲーターと称する機器を車に搭載し,地図帳代わりに利用するようになった.
磁石そのものの利用は紀元前に遡り,磁石の粉末を肝臓の治療に用いたというが,その効果のほどはあやしいものである.その後も磁気を利用したあやしげな治療が行なわれた.1986年に,磁場は生体に磁気閃光という現象を起こすと報告されたが,これが唯一の生体への影響と思われる.
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