健康の目的とスポーツの本来の姿

　健康とはいったい何なのか？ということに関しては様々な視点から論じられる．WHOの定義である「単に虚弱でないとか，病気でないというのみならず，身体的，精神的，社会的に良好な状態である」ととらえることが最も一般的であると思われる．しかし，WHOの定義は，完成された理想であって，この条件をすべてクリアできるということはなかなか容易ではない．身体が良好であっても社会に適応できなかったり，精神的に安定していても身体が病んでいたり……．もちろん「良好な状態」の中身にもよるが，これでは身近に健康な人が見あたらなくなってしまう．

　一方，「他人に迷惑をかけず，多少の環境の変化に適応して，自己の能力が十分に発揮できる状態」（池上の定義に一部加筆）というとらえ方もできるのではないかと思われる．この定義では，自己の能力が十分発揮できれば，多少の疾病があっても良いということで，疾病をもちながらも自分の生き方をもって，有意義に生活している人は「健康」であるといえるので，これならば，身近に健康な人が結構見受けられるようになる．