提言
本来の作業療法を実践しよう!
寺岡 睦
1
Mutsumi Teraoka
1
1吉備国際大学
pp.368-369
発行日 2024年5月15日
Published Date 2024/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203759
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
作業療法士はOCP,OBP,OFPを頑張ろう
この提言で私が一番言いたいのは,「作業療法士は作業中心の実践(occupation-centered practice:OCP),作業に焦点を当てた実践(occupation-focused practice:OFP),作業に根ざした実践(occupation-based practice:OBP)に取り組もう」ということである1).OCPとは,作業療法の中核的原則(作業的存在である人間が体験する作業機能障害の理解,生活や人生における作業の重要性,作業療法プロセスを通して作業に焦点を当て作業を活かす実践)と作業療法士の視点を結びつけることである.OFPとは,作業療法士の関心の所在が,今現在解决が求められる作業機能障害にあることである.OBPとは,評価や介入で作業への参加の機会を提供することである.本来の作業療法はOCP,OFP,OBPを反映したものであり,クライエントの作業機能障害に着目し,作業を通して評価と介入を行うことが作業療法士の役割であるといえる.
こうした実践を本来の作業療法と呼ぶ理由は,作業療法の歴史をみると明らかである.作業療法は道徳療法に一つのルーツがあり,作業療法の創始者たちはさまざまな生活習慣の乱れを,教育,日常生活活動,仕事や遊び等の作業参加によって改善してきた.作業は人の存在を規定し,思考や行動をつくり出し,作業で身体と精神を密接に結ぶという創始者たちの理論と実践は作業パラダイムと呼ばれ,作業を中核に据えた作業療法を特徴づけるものであった.
Copyright © 2024, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.