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■病院の概要1)
戸畑共立病院は福岡県北九州市戸畑区にある社会医療法人共愛会の中核施設で,218床(看護基準7:1)の一般病院である.診療科は内科,消化器内科,呼吸器内科,循環器内科,内分泌・代謝内科,血液内科,外科,消化器外科,肝臓・胆のう・膵臓外科,呼吸器外科,乳腺外科,血管外科,整形外科,形成外科,脳神経外科,泌尿器科,放射線診断科,放射線治療科,眼科,皮膚科,麻酔科,病理診断科,救急科,精神科,リハビリテーション科,歯科,歯科口腔外科の27科で,法人内には他に戸畑リハビリテーション病院〔154床.うち回復期リハビリテーション病棟94床,一般病棟43床(ただし37床は地域包括ケア病床),緩和ケア病棟17床〕,あやめの里(介護老人保健施設,通所介護,訪問看護ステーション,単独型短期入所生活介護),2カ所の診療所が併設されている.開設は1912(明治45)年で2012(平成24)年に100周年を迎えたが,この間一貫して戸畑地域の急性期医療を支えている.特に救急医療およびがん診療は充実しており,また地域医療支援病院として地域の他の医療機関との連携を重視した経営を行っている.週刊誌の「頼れる病院」ランキングでも常に上位にあり,財務状況でも健全経営を行っている病院である.
フランスには「公的病院サービス(Service public hospitalier)」という概念がある.これは設置主体にかかわらず「24時間365日,社会経済状況にかかわらず全ての患者を受け入れる」病院を指し,この条件を満たす施設は公私にかかわらず補助金や診療報酬上同じ扱いを受けることができる.わが国では機能よりは設置主体の違いによって,税制や補助金などに差があるが,本来はフランスの公的病院サービスのような概念のもと,イコールフッティングで病院の評価が行われるべきであろう.筆者の視点では戸畑共立病院はフランスの公的病院サービス的な機能を果たしている病院である.そしてそれは本来の地域医療支援病院の在り方を考えるための視点でもある.本稿ではこうした問題意識に基づき,戸畑共立病院の概要を紹介したい.
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