特集 精神看護学実習の展開
プロセスレコードはどのような学習を可能にするか
宮本 真巳
1
1横浜市立大学看護短期大学部看護学科
pp.179-185
発行日 1997年3月25日
Published Date 1997/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901573
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対人関係を振り返ること
精神科の臨床に携わる看護者に,自分の受けた看護教育で何が役立ったと思うかと尋ねると,比較的多いのがプロセスレコードという答である.看護者の研修でこの方法について知っているかと尋ねてみると,知っているという受講者が常に半数を占め,年代が下るにしたがってその率は高まる.ただし,知っているだけで使ったことのない人もいるし,使ってみたけれども学習効果を実感できない人も多いようである.看護の領域でこの方法は,よく知られているわりには,十分な関心が払われていないし,使い方についての検討も不十分のように思える.
ところが,精神保健に関連のある他職種の研修でこの方法を紹介すると,強い関心を示す人が多い.精神科医,心理臨床家,ソーシャルワーカーも,患者とのやりとりを指導者に報告して助言を受けることを専門教育の一環としており,それをスーパービジョンと呼んでいる.その際,指導者から詳細な面接記録の提示を求められるが,学習者にとって負担が重いし課題の焦点が絞りにくい.ところが,プロセスレコードの記録様式を用いると,一連のやりとりの中で1コマだけを取り出せばいいので,負担が軽いし要点も押さえやすい.
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