特集 学生の医療事故を防ぐために
学生の実習中の事故とその対策に見る看護教員の役割
土屋 八千代
1
1聖母女子短期大学
pp.495-500
発行日 1994年7月25日
Published Date 1994/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900869
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はじめに
安全であるべき医療の場において,医療事故に関する紛争は年々増加傾向にある1-4).これは過失の立証が極めて難しく,医療者と患者という特殊な関係の上に日本人の民族意識が作用し訴訟に至らなかった時代に比べ,現代ではインフォームド・コンセントや患者の権利法制定5)の動き等に見るごとく,国民の知識や権利意識の向上,マスメディアの発達などの影響が大きいと考えられる.
医療が高度化していく中で看護業務も繁雑になり,それと符合して看護婦の関わる医療事故も増加するのが予測される.そして,裁判になった場合の判決においても医師のみが責任を問われていた時代は去り,看護職にも過失責任が問われるようになって来た6-8).責任性に裏付けられない専門性はあり得ないのであって9),看護教育が大学化し専門職を志向する以上,その業務に伴う責務として,法的責任を負うのは当然のことであろうと考える.
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