連載 人間と教育・14
人間のわかり合うすばらしさ―カルテの力
上田 薫
1
,
加藤 由美子
1前都留文科大学
pp.86-87
発行日 1994年2月25日
Published Date 1994/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900776
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私は人間理解ということばを使うのだが,相手のことがよくわかるということは,どんなしごとをしていても大切なことであると思う.人はとかくわかっていると簡単に思いこんで,取り返しようのない失敗をする.初対面の人にはさすがに一応は慎重になりはするのだが,それでもすぐわかったときめつけてしまうから,しょせん浅薄さをさらけ出すほかはないのである.人間がおたがいに深く理解しあったら,どんなにすばらしい状況が生まれるだろう.人びとは案外このことに気づいていない.
1966(昭和41)年から私は静岡市立安東小学校で,カルテと座席表による授業の研究をはじめた.50名を越える全校の教師が正面から取り組んでくれて,以来毎年大きな研究会をひらき,昨年でついに27回目を迎えた.会の参加者は全国から通例800から1,000に及ぶが,きわめて多数の教師が,ふだんもこの学校を訪れる.
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