連載 続・往復書簡・8
[実存的哲学]が看護教育の基盤―ワトソン看護論に思う
久保 成子
pp.566-569
発行日 1993年8月25日
Published Date 1993/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900622
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向き合う
向き合う 龍安寿方丈 石庭と
枯山水 自然ではなく その本質を
現実ではなく その象徴を
限定した囲いの中に息づかせる宇宙
砕け散る北の岬の海が見せるつかの間の静寂
くる日もくる日も巨岩を山頂に押しあげ
山頂に達したその瞬間 巨岩の重みで岩が
谷底に転落していくその有様をみつめながら
再び谷底をめざして降りていく男
ギリシアの美しいコリントの海を眺め
シーシュポスは束の間の平和の時を得るのだ
これは この人生の うつし身なのか
「そうしたものを感じていました」
そのまなこを庭に向けたまま 老師は言った
「庭は 観るお方の もっておられる そのもので観ておられるのです」
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